阪急電車はごとん、ととん、と。

阪急電車というのはいつだって魅力的である。特に馴染みもないし、時たま京都に用がある時に乗車するくらいなのだけれど、梅田駅付近で‘阪急電車のりば’という案内看板などがちらほらと出てくると、なんとも言えない高揚感が湧き上がってくる。大阪メトロ梅田駅を越え、阪急梅田駅に辿り着いた際の視界の開け方、というのか、メトロの蛍光灯の冷たさから一気に照明が柔らかな、そして紅らんだような印象に変わり、大きな階段がどでんと現れ、太い柱が、あれはなんの石でできているのだろうか、とにかく上質そうな石でできている柱の周りを、たくさんの人が往来している。

阪急電車は地上を走るから街が見え、田んぼが見え、空が見え、光いっぱいに照らされる車両に、停車してまた動き出す際の‘ごとん、ととん’が極め付けである。これが雨の日ならばまた印象が変わるのだろうけれど、本日は快晴なり。たくさんの光が、光に、光を浴びて、みな運ばれて行く。

それに、‘はんきゅう’という、なんともアンニュイで艶のある音の響き!なんなのだろうか、この音は。うまく言葉では表せない魅力が詰まっており、どことなく秘密めいている。

阪急電車で誰かに会いに行ったり、阪急電車で別れの涙を流したり、どうせ生きて心乱されるならば、帰り道は阪急電車が良い。どうしたって、阪急電車が良い。

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