指輪、et cetera.

夫はenterキーを執拗に強く叩く癖があって、その音が廊下を通ってこの小さな家中に響き渡るのだが、耳障りで仕方がない。私は息を潜めて夜が明けるのを待つ。深く呼吸していると、だんだんとこの部屋にあるすべてのものと溶け合って...

父の足跡。

父の青春と学びの地に訪れたとき、私はその街について何も知らず、しかしどの道を歩けども歩けども、この今踏みしめるアスファルトは敷き直されど、並ぶ店々は変われど、きっと数十年前にあの青年もこの道を歩いていたのだろう、雨の日も...

戯れ言ひとつと、

風が柔らかく、優しくなって、ひとつ、また季節が変わったなあと言う実感。それ吹くたび草木揺れるが、以前の揺れ方とまた違う。 先日まで雨続きだった。激しいものであった。雨はどうしたものか、あまり好きになれぬ。まず、お天気にど...